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北大 問4(要約完成)語群24語はどこまで絞れるか

品詞で絞る/活用と前置詞で絞る──入試本番16年・192空所・380選択肢を全部数えた

北大の問4は、会話文[Ⅰ]を読み、その要約[Ⅱ]の12前後の空所に、 A〜Zの語群(20〜24語)を1語ずつ使い切って入れる問題。 「まず品詞で絞れ」「次に活用と前置詞を見ろ」と教わるが、それで実際どこまで絞れるのか。 2007〜2026年度のうち現行形式の16年分、192空所すべてで数えた。
8.0語
品詞を決めた時点で
残る候補(24語中)
5.2語
活用・単複・前置詞まで
見た時点で残る候補
6%
文法だけで1語に
決まる空所の割合
0
「本文に出ていた語」が
正解を当てる手がかりになる度合い

1語群24語の中身

16年分380個の選択肢を品詞で分類した。

品詞割合24語中およそ
名詞(単数)25%6語
形容詞18%4語
動詞(原形)15%4語
副詞7%2語
動詞(三単現)6%1〜2語
名詞(複数)6%1〜2語
前置詞5%1語
過去分詞5%1語
現在分詞・動名詞6%1〜2語
過去形・助動詞・接続詞・代名詞・限定詞8%2語

名詞と形容詞と動詞で4分の3を占める。そして重要なのは、 正解になる語とダミーの語で、品詞の内訳がまったく同じだったこと。 「名詞が多いから正解も名詞だろう」といった読みは通用しない。 ダミーは正解と同じ品詞の語をぶつけるように作られている。

もうひとつ。語形を見れば品詞が決まる語が96%ある。 change(名詞にも動詞にも見える)のような紛らわしい語は 380個中13個しかない。品詞の判断そのもので迷うことは、ほとんどない。

21手目:品詞で絞ると8.0語

空所の前後から品詞を決め、その品詞の語だけを候補として数えた。

空所の種類空所数残る候補
名詞・動名詞が入る58 (30%)9.4語2〜16
形容詞・分詞が入る51 (27%)7.4語2〜9
動詞が入る49 (26%)10.2語1〜17
副詞が入る14 (7%)3.4語1〜5
前置詞が入る9 (5%)3.7語2〜5
接続詞・代名詞・限定詞が入る11 (6%)2.0語1〜3

名詞・形容詞・動詞の空所(全体の82%)では7〜10語も残る。 一方、黄色で示した副詞・前置詞・接続詞・代名詞・限定詞の空所(18%)は、品詞を決めただけで2〜4語まで落ちる。 語群にそもそも副詞は2語、前置詞は1語しか入っていないからだ。

つまり「品詞で絞る」の効き目は空所によって3倍以上違う。 ここが解く順番を決める(→6)。

32手目:品詞によって次に見るものが違う

動詞なら活用と後ろの前置詞、名詞なら単複と前置詞、形容詞なら後ろの前置詞やthat節。

2手目まで打つと、192空所の平均で8.0語→5.2語。 ただし空所によって、そもそも2手目が存在しない。

空所の種類2手目にやることそれが使える空所1手目→2手目
動詞活用(原形/三単現/過去形)を合わせる49中46 (94%)10.2 → 4.4語
後ろの前置詞・副詞との語法49中13 (27%)
名詞単数か複数か58中9 (16%)9.4 → 7.0語
前置詞との結びつき58中35 (60%)
形容詞後ろの前置詞・that節との語法51中22 (43%)7.4 → 5.5語
副詞・前置詞・接続詞など2手目なし(1手目で既に2〜4語)3.0語のまま
動詞の活用は効くが、名詞の単複はほぼ効かない。 動詞は94%の空所で形が決まり、候補が10.2語から4.0語に落ちる。 ところが名詞は、単複が文法的に決まる空所が58個中9個(16%)しかない。 the が付いていたり無冠詞だったりで、単複は意味から決めるしかないことが多い。 しかも決まったところで10.2語→9.8語にしかならない。語群の名詞の8割が単数形だからだ。 名詞の空所で打つべき2手目は、単複ではなく前置詞のほう。

動詞の活用だけで半分以下になる例

2022年度 空所12主語の一致で三単現に決まる

Sayuri admits there are no easy answers, but  12  encouraging and supporting more women to take leadership positions.

1手目 動詞が入る位置。語群24語のうち動詞は13語
2手目 主語は Sayuri(単数)で admits と並ぶ形。三単現の -s が付いた語だけが残り、predicts / suggests2語に。
あとは文意で suggests13語→2語

後ろの前置詞で一気に決まる例

2018年度 空所11形容詞・分詞+on

Halloween is a relatively recent trend in Japan and  11  on dressing up.

1手目 be動詞に続く補語の位置。形容詞・分詞は9語
2手目 直後が onbe centred on(〜を中心とする)の形をとるのは1語だけ
9語→1語。文意を考えるまでもなく centred に決まる。
2018年度 空所4句動詞+from

He just tries to  4  from people who are not well.

1手目 to の後なので動詞の原形。10語
2手目 直後が fromfrom を伴えるのは stay away / advocate2語
stay away from(近づかない)で確定。10語→2語
2023年度 空所8名詞+of

Taro illustrates this by mentioning the three negative  8  of this company's program.

1手目 the three negative ___ of なので名詞。語群の名詞は16語もある。
2手目 three があるので複数形。さらに直後の of と自然につながる語に限ると achievements / aspects / results3語
16語→3語。「否定的な3つの〜」なので aspects

4空所の直後には何が来るのか

192空所の直前・直後に来る語を数えた。

直後に来るもの割合直前に来るもの割合
前置詞30%名詞12%
冠詞・限定詞16%冠詞・限定詞12%
文末・カンマ12%形容詞10%
名詞11%be動詞10%
形容詞8%動詞9%
動詞6%副詞9%
to5%to9%
that2%前置詞6%

空所の直後に前置詞が来る確率が30%で、断然多い。 tothat も足すと37%の空所は直後に機能語を持つ。 だから「後ろを見る」は正しい。ただし——

効く前置詞と、効かない前置詞がある

直後の前置詞が何かによって、絞り込みの力はまるで違う。 rely on のように語と前置詞が固く結びついていれば強力だが、 ほとんどどの語の後にも来る前置詞では絞れない。

on71%
about71%
that69%
from63%
of52%
to51%
by50%
with42%
in32%
for31%
数値は、その前置詞が直後にある空所で候補が何%減ったか。
いちばん多く出る前置詞が、いちばん効かない。 空所の直後に現れた前置詞を数えると of 13回・in 12回で、この2つが最多。 ところが in32%しか絞れない。「〜において」はどんな名詞の後にも置けるからだ。 逆に onaboutthatfrom は7割を削る。 「後ろの前置詞を見る」ではなく「その前置詞と決まった形をとる語を思い出す」—— 思い出せる形がない前置詞なら、そこで粘らずに文意に移ったほうが速い。

5「本文に出ていた語」は手がかりにならない

語群380語それぞれについて、会話文[Ⅰ]に出ているかを調べた。

語群の語のうち、会話文に何らかの形で出ているのは27%。 同じ語形でそのまま出ているのが17%、活用違いが5%、派生語が5%。残る73%は本文に無い語だ。

会話文[Ⅰ]との関係正解になった語ダミーだった語
同じ語形で本文にある18%16%
活用違いで本文にある5%5%
派生語が本文にある5%6%
何らかの形で本文にある(計)28%27%

正解とダミーで、まったく差がない。 本文で見た語だから正解、という選び方も、逆に本文にある語は罠だから避ける、という選び方も、 どちらも成り立たない。実際、本文にそのまま出ていた語のうち considerlook は正解になり、 againstissuepublictaboo はダミーだった。

要約[Ⅱ]は会話[Ⅰ]の言いかえなので「正解は言いかえた語のはず」と思いたくなるが、 北大は正解にもダミーにも、本文の語をそのまま使ったり言いかえたりを均等に配っている。 見覚えがあるかどうかは判断材料から外したほうがいい。

6どの空所から手をつけるか

語群は1語ずつ使い切る。だから確実に取れる空所を先に埋めれば、 その分だけ残りの空所の候補も減る。数字が示す順番はこうなる。

① 副詞・前置詞・接続詞・代名詞の空所を先に埋める

全体の18%(12空所なら2つ前後)。品詞を決めるだけで候補が2〜4語まで落ちる。 語群に副詞は2語、前置詞は1語しかないからで、ほぼ取りこぼしのない空所になる。

② 動詞の空所は、必ず活用を確認してから意味を考える

do not の後は原形、主語が単数なら三単現、 to の後は原形、have の後は過去分詞。 これだけで10.2語→4.0語。数秒で終わるうえに、いちばん効く。

③ 名詞の空所では単複より、前後の前置詞を見る

単複が文法的に決まる名詞の空所は6つに1つしかなく、決まっても候補はほとんど減らない。 それより ___ ofin ______ on のような 結びつきのほうが効く。

④ 最後の3〜4語は、文法では割れない

ここが本題。文法と語法だけで正解が1語に決まる空所は6%しかない。 2手目まで打っても平均5.2語、3語以下になるのは3分の1の空所だけ。 残りを分けるのは[Ⅰ]の対応箇所と照らして意味の向きが合うかで、 ダミーの多くは正解の反意語(plentifulscarceadvantagesinconveniencesgenerousunethical)として置かれている。 意味が「合う」かではなく「向きが正しいか」を確認するのが最後の一手になる。

7年度によって難しさが違う

品詞で絞った時点の平均候補数。少ないほど絞りやすい年。

年度1手目2手目特徴
20073.83.5機能語の空所が5つ=最も絞りやすい
20089.44.4動詞の空所が6つ。活用がよく効く
20098.35.8
20105.72.82手目まで打つと平均3語を切る
201211.25.7動詞6つ・名詞1つと偏りが大きい
20135.23.8機能語の空所が7つ
20144.84.5機能語6つ。ただし2手目が効きにくい
20176.95.4
20187.94.3
20198.45.5
202110.36.5機能語の空所ゼロ
20229.34.6
202311.47.8名詞の空所が7つ=最も絞りにくい
20248.86.3
20258.27.42手目の手がかりが少ない
20267.24.4

絞りやすさは年で2〜3倍違う。差を作るのは機能語の空所がいくつ含まれるかで、 5〜7個あった2007・2013・2014年度はやさしく、0個で名詞に偏った2021・2023年度は絞れない。 過去問を年をまたいで解いて点が上下しても、実力の変動とは限らない。

※ 2011・2015・2016・2020年度は、空所ごとに独自の4択が付く別形式のため対象外。 2006年度以前は語群がない形式(2004・2005年度の問4はリスニング)で、現行の形は2007年度から。

82026年度の12空所で確認する

電気自動車をめぐる Yuki と Sakura の会話。語群24語・空所12。

空所正解種類1手目2手目最後の決め手
1aware形容詞93be aware that の形
2doubtful形容詞95be doubtful about
3produce動詞64do not の後=原形
4rely動詞62原形+on
5principle名詞74in principle
6unethical形容詞992手目なし。意味の向きだけ
7generally副詞22品詞だけでほぼ確定
8inconveniences名詞772手目なし。↔ advantages
9scarce形容詞93plentiful
10increases動詞66主語 demand は単数扱い
11balance名詞73balance between A and B
12complex形容詞95more … than の比較
2026年度 空所41手目と2手目が両方効く

… especially in countries like Japan that  4  heavily on thermal power.

1手目 関係代名詞 that の述語動詞。動詞は6語
2手目その1 先行詞 countries が複数なので原形。 increases decreases が落ちる。
2手目その2 直後が onon を伴うのは rely / affectproduce destroy は落ちる。
6語→2語。「火力発電に大きく依存する」で rely

この年、品詞だけで決まった空所はゼロ。2手目まで打っても2語以下になるのは空所4と空所7だけで、 残り10空所は最後に必ず[Ⅰ]との照合が要る。 空所6・8・10のように2手目が存在しない空所も3つある。 文法で削れるところは機械的に削り、浮いた時間を意味の照合に回す——それが数字の示す解き方になる。

集計対象:2007・2008・2009・2010・2012・2013・2014・2017・2018・2019・2021・2022・2023・2024・2025・2026年度(16年・192空所・380選択肢)。 語と前置詞の結びつきは、20億語の英語コーパスで実際の並びを数えて判定した。