北大 問3(要約完成)対策としてのケンブリッジ式書きかえ演習

B1/B2 の「同じ意味に書きかえる」問題が、なぜ問3 A・B の得点に直結するのか

北大 問3 の A・B は、長文を読んで大学側がすでに書いた要約文の空所を英語で埋める形式。 「自分で要約を書く」問題ではない。実際にやることは、本文の該当箇所を、空所の前後に合う形へ書きかえて入れることだ。 2012〜2026年度の全50空所を分析すると、この「書きかえ」の正体がはっきり見える。
78%
本文そのままでは入らず
構造の変換が必要な空所
46%
変換の中心は
名詞化と主語の組み替え
85%
変換のうち、書きかえ演習に
同じ型が存在する割合

1北大で実際に出た「言い換え」

公式ページ「北海道大学 英作文 模範解答分析」(2021–2026年度)より。マーカーは本文からの借用箇所。

北大 2025年度 B④名詞 → 動名詞の品詞変換restrict … from -ing
本文Kyoto City has limited the entrance of tourists into the Gion district …
▼ 空所の前が restrict なので、形を組み替えるしかない
要約文(空所)と模範解答… Kyoto City has decided to restrict tourists from entering the Gion district …
やっていること: 本文の名詞 entrance を動名詞 entering に変え、restrict A from -ing の構文に載せ替える。語そのものは本文から借りてよい。形だけが問われている
北大 2022年度 B③節 → 名詞句の「名詞化」cannot → inability
本文… professional human translators argue that machines cannot understand culture and situations of communication
▼ 空所の前が namely(同格)なので、後ろに置けるのは名詞句だけ
要約文(空所)と模範解答… machine translation's shortcomings, namely inability to understand culture and situations of communication / difficulty in translating words which have special cultural meaning.
やっていること: 本文の cannot understand(〜できない)という「文」を、inability to(〜できないこと)/ difficulty in -ing(〜の難しさ)という「名詞のかたまり」に作りかえる。この名詞化が北大の変換で最も多い型(50空所中11件)。

2ケンブリッジ式の演習問題は、同じ書きかえを1問ずつ練習できる

パラフレーズ演習(B1: 140問/B2: 1,014問)に実際に入っている問題から。元の文が与えられ、空所の前後に合う形へ書きかえる——問3 A・B とやることは同じだ。

B2無生物主語 + prevent … from -ing↔ 北大 2025 B④ と同じ型
元の文I wasn't able to get to the airport on time because of the bad weather.
書きかえ(PREVENTED を使って)The bad weather prevented me from getting to the airport on time.
「悪天候のせいで行けなかった」を「悪天候私を妨げた」へ——主語を無生物に組み替え、from の後を動名詞にする。北大 2025 B④ の restrict tourists from entering と完全に同じ型。
B2「〜できない・難しい」の名詞化↔ 北大 2022 B③ と同じ型
元の文Ben found it difficult to use a computer.
書きかえ(HAD を使って)Ben had difficulty (in) using a computer.
「難しいと感じた」という文を difficulty(難しさ)という名詞に畳んで in -ing を続ける。北大 2022 B③ の模範解答 difficulty in translating … はまさにこの形。
B2動詞で書かれた内容を名詞に作りかえる↔ 北大 2026 A① の「自分で名詞化」
元の文The teacher explained everything clearly and precisely.
書きかえ(WERE を使って)The teacher's explanations were clear and precise.
動詞 explained を名詞 explanations に変えると、主語も副詞(clearly → clear)も全部つられて変わる。北大 2026 A① は本文の発言内容を a ___ of(冠詞 a の後=可算単数の名詞句)へ自力で名詞化する問題で、やることはこれと同じ。
B1入口はここから — ヒント語なしで枠に合わせる
元の文My mother finished War and Peace in only three weeks.
書きかえ(3語以内)It only took my mother three weeks to finish War and Peace.
B1 は使う単語のヒントが与えられない空所の前後の形だけを手がかりに自分で語を決める——実はこの「手がかりの構造」が本番の問3と同じ。文が平易なぶん、型の練習に集中できる。
量も十分: B2 の書きかえ 1,014問を型別に分類すると、約7割(推定 約700問)が北大 問3に実際に出る型 (名詞化 約200問・語法の枠 約170問・受動⇄能動 約125問・主語の組み替え 約70問 ほか)。 北大の変換で最頻出の「名詞化+主語転換」に、ちょうどバンクの最も厚い部分が当たる。

3ケンブリッジ式では扱えないもの

誠実に言えば、問3で必要な作業のうち、書きかえ演習で練習できるのは「③書きかえて入れる」だけだ。

① 出所探し ②内容の選択 は訓練できない

書きかえ演習では元の文が最初から与えられる。本番では、要約文を読んで本文のどこを運ぶかを自分で見つけるのが第一関門(要約文の内容語の約3分の2は本文から意図的に言い換えられている)。この工程は過去問・本番形式でしか鍛えられない。

複数の文をまとめる空所・段落要約型

例えば北大 2026 B③ は、本文の2文にまたがる aroma と flavor を enhancing flavor through aroma の1句に圧縮する。2023 B② の the roots of sushi は段落全体を名詞句に要約する。書きかえ演習は常に「1文 → 1文」なので、複数文の統合(50空所中 約1割)はこの形式では練習できない

C問題(自由英作文)は別の練習

問3 C は自分の立場と論理を組み立てる問題で、書きかえ演習の守備範囲外。本資料の対象は A・B のみ。

4推奨する順番

STEP 1 — B1

ヒント語なし・3語以内の書きかえで「空所の前後が形を決める」感覚を作る。文が平易なので型に集中できる。

STEP 2 — B2

名詞化・主語の組み替え・受動⇄能動・語法の枠——北大頻出の変換を高い密度で反復する。レベルも本番に近い。

STEP 3 — 本番形式

過去問で「本文のどこを使うか自分で探して選ぶ」練習をつなげる。ここまで来ると、見つけた後の書きかえは既に手が覚えている。

まとめ

北大 問3 A・B の得点は「内容を正しく選ぶ力」と「選んだ内容を空所に合う形に書きかえる力」の掛け算で決まる。 後者は採点の約半分を占めるのに、単独で練習できる教材がほとんどない。 ケンブリッジ式の書きかえ演習は、この書きかえだけを1問1分で反復できる、まとまった唯一の問題集であり、 北大の変換型の85%をカバーする。B1で型に慣れ、B2で量を積み、過去問で「探して選ぶ」練習につなげる——これが最短の並びだ。

出典・根拠: 北大の実例と模範解答は 北海道大学 英作文 模範解答分析(2021–2026) に基づく。 空所の型分類は 2012–2026年度・全50空所の分析(構造変換 39/50=78%、うち名詞化11・主語転換7)。 演習バンクの型分布は B2 1,014問中170問の抽出分類+B1 140問の全数分類による推定。 書きかえ演習は パラフレーズ演習(B1/B2) で利用できる。