have O do / done の O は人か物か

コーパス調査ノート / 2026-09-19

have O do と have O done の O は、
ほんとうに人と物で分かれるか

1億6,457万文(28.6億語)の大規模コーパスを全数走査し、そこから無作為に400件ずつ抜いて、 O に何が入っているかを1件ずつ目で確かめた結果です。この型でないもの(完了形・倒置・「〜という名の」など)は 読んだうえで外しています。

have O do 78% が人。だいたい当たっている。残りは「物・事」で、上位は have something happen のような自動詞。
have O done 75% が物・事・体の一部。人は22%あり、4回に1回近い。 「思ったより人が多い」というのが今回いちばんの答え。

有効件数 342 / 351 件。±4ポイント程度の幅で読んでください(無作為400件の標本誤差)。

1. O の中身

同じ物差しで並べた帯グラフ。左が人、右へ行くほど物寄りです。

have O do有効 342 件(読んだ 400 件のうち)
人 78%
組織
物 7%
事 8%
have O done有効 351 件(読んだ 400 件のうち)
人 22%
体 9%
物 34%
事・抽象 31%
組織・集団(会社・政府・チーム) 動物・その他 体の一部(髪・歯・腕) 事・抽象(仕事・名前・権利)
読んだ400件ずつの内訳(この型でないものを除いた%)
O に入るものhave O dohave O done
78.1%21.9%
組織・集団5.6%1.7%
動物0.9%1.4%
体の一部0.6%9.1%
7.3%34.2%
事・抽象7.6%31.3%
判別不能0.3%

全件(have O do 127,787件 / have O done 236,518件)を機械的に分類しても do の人率 71.6%、done の人率 23.7% で、done はほぼ一致します。 do で機械側が低く出るのは have a drink / have a chance to … のような 「この型でないもの」を機械では落としきれないためで、目で読んだ 78% のほうを本数字とします。

2. 「使役」に絞ると差はもっと開く

同じ形でも中身は3つに分かれます。してもらう・させる(使役・依頼)〜された(被害・経験)〜の状態にある(状態)。 教科書が説明しているのは1つめです。そこだけ取り出すと——

用法別の人率
用法have O doO が人have O doneO が人
してもらう・させる70%89.2%50%28.4%
〜された(被害・経験)30%52.5%17%27.6%
〜の状態にある0.3%33%9.4%

do 側の「人」が 78% にとどまるのは、被害・経験の用法(人率52%)が3割もあるから。 I've had it happen 6 or 7 times.I've had a lot happen. のような「〜ということが起きた」が、形の上では have O do です。 使役だけなら 89%、つまり「人にやらせる」と言い切ってほぼ問題ありません。

3. done で O が人 — どんな動詞か

ご指摘のとおり「診てもらう」型は実在します。ただしそれは一部で、 全件46,094件を動詞で並べると、いちばん多いのは殺す・逮捕する・連れて行く系でした。

kill2,568arrest1,847cover955 lock (up)650take632remove612 put576throw (out)575pin543 involve534commit509shoot461 bring441fool430see426 send418fire410worry388

The local authorities perceived him as a subversive element so they had him killed.

権力者が「殺させる」。この形がいちばん多い。

I could have you arrested and I'm going to.

「逮捕させる」。arrest は単独で1,847件。

… increased risk of having a child subsequently diagnosed with an ADHD like thing.

まさにご指摘の「人を診断してもらう」型。

it is his wish to have her mentored in the fine art of player development.

「彼女に指導を受けさせたい」。育成・訓練系。

「診てもらう」型は、done ×人の 3.2%

ご指摘の型を実際に数えました。see・check・test・admit・examine・evaluate・vaccinate・treat・diagnose … を合計して 1,456件(done で O が人の 46,094件のうち 3.2%、 have O done 全体では 0.6%)。train・educate 系はさらに少なく 285件(0.6%)。 いっぽう殺す・逮捕・追放・解雇のような力ずく系は 9,503件(20.6%)、 kill と arrest だけで 4,415件です。 「人が O に来る done」は、診てもらう型よりも、されて困ることをされる型が6倍以上多い——が実態でした。

ただし、その中に「状態」が紛れている

cover・pin・fool・worry・tie は使役ではなく状態・心理です。 Othership has you covered.(お任せください) He had us all fooled.(みんな騙されていた)。 使役に絞った人率 28.4% は、これらを外した数字です。

4. do で O が物 — どんな動詞か

こちらの例外は 25,824件。並べるとはっきり傾向が出ます。 上位は物が主語になれる自動詞でした(happen・be・come・go の4語だけで 8,134件=31%)。

happen2,789be2,047come1,672 go1,626do680take508 look413get382make310 run248fall224work215

… I clicked a button to have it start pumping current through, then clicked another button to have it stop.

機械に「止まらせる」。O は物でも、止まるのは機械自身。

We had a EMC SAN lose two drives in a RAID5 in under 6 minutes.

「サーバーがドライブを2本飛ばした」。物が動作主。

You can have it select the forecast method.

ソフトに「選ばせる」。O が機械・ソフトのときは、この上位動詞(run・work・start・stop・select)に集まります。

I've had it happen at least 6 or 7 times in the last three years.

「そういうことが起きた」。これは使役ではなく経験。

5. 「体の一部」をどちらに数えるか

done で 9.1%、全件では 15,411件。have my hair cut は教科書では「物」の代表例ですが、 生徒の感覚では「自分の体」です。動詞の顔ぶれを見ると、人を O に取るときと明らかに違います。

remove678cut660set593 break542do365cross364 wrap355close327turn322 amputate302tie296pull259 examine228

He had his gall bladder removed yesterday. / I had my hair coloured by Aoife today.

してもらう側。医療・美容がまとまって出ます。

The AP reporter had his head slammed into something.

される側(被害)。同じ「体の一部」でも意味は逆。

6. 結局、何で分かれているのか

分かれ目は「人か物か」ではなく「O がする側か、される側か」。

have O do の O はその動作をする側。だから人が多い(78%)けれど、 止まる・起きる・来るのように物でもできることなら物が入る(15%)。

have O done の O はその動作をされる側。だから物が多い(75%)けれど、 殺される・逮捕される・診てもらうように人がされうることなら人が入る(22%)。

「do は人、done は物」は、この本当のルールを言い換えた近道です。 近道としては do 側で 78%、done 側で 75% 当たる、というのが今回の数字です。


数え方